
メキシコ湾はデコミッショニング・プロセスが非常に進んでおり、北海でも増加しています。ほかにも世界各地でホットスポットが出現しつつあります。重大な作業となるデコミッショニングへの準備をしなければなりません。
出現しつつある多くのホットスポットでは、準備状況はまだ初期段階にあります。オフショア・デコミッショニングには、政府、事業者、請負企業など、インセンティブが異なるすべての関係者間での高度な連携が求められます。さらに、多くの国でデコミッショニングのコストの大部分を納税者が負担するため、関係者の行動に対する市民の監視が厳しくなっています。
デコミッショニングに関する課題を定義し実行するうえで必須の役割を担うのは事業者と請負企業ですが、各国政府が総合的なガバナンスの枠組みを設定し、強力な制度によりサポートすることで、先導役を務める必要があります。この枠組みにより、公的資金を最適に活用できるようにし、世界一級のプロジェクト設計と実行を奨励し、サプライチェーン全体にわたる価値を創出するための協働を促進しなければなりません。
世界各地でデコミッショニング・プロジェクトを支援してきた経験に基づき私たちは、政府がデコミッショニングの準備として行うべき5つのステップを特定しました。
世界中の石油・ガス企業は、油井・ガス井や関連設備のデコミッショニングのコストを大幅に削減する必要があります。しかし、コスト削減は石油・ガス業界関連企業だけの問題ではありません。コスト削減に関する利害には、政府も絡んでいます。オフショア・デコミッショニング・コストの50%から80%を納税者が負担する場合があるからです。喫緊の課題であることを認識し、デコミッショニングのコストを30%以上削減するという目標を設定した政府もあります。しかし、これほど大幅な削減を達成するための道筋は、依然として明確にはなっていません。
デコミッショニングのコストを30%削減するという目標は野心的ではありますが、政府や事業者を支援してきた私たちの経験から、それは実現可能だと考えられます。BCGは業界関連企業と協働し、国、企業、プロジェクトのレベルで、デコミッショニングのコストを大幅に削減してきた経験があります。それを実現するために事業者と政府には、デコミッショニングのためのリソースを最も効率的に活用するための様々な手段の適用を組み込んだ、詳細なロードマップが必要です。
私たちは、デコミッショニング・プロセスのコスト削減ロードマップを策定するなかで、数多くの価値とリスクの源泉を見出しました。価値をとらえリスクを軽減するため、先進的企業と政府は6つのコスト削減手段を適用しています。
どの手段も、それ一つだけでは不充分です。30%ものコスト削減を実現するためには、関係企業・機関が協調したアプローチで、それぞれのデコミッショニング・プロジェクト/キャンペーンに適した手段を適用する必要があります。
石油・ガスのデコミッショニング・コストの抑制
BCGはオランダ政府と協働し、オランダにあるアセットをコストを低く抑えつつ、安全かつ効果的に撤去・解体するためのプロジェクトを開発しました。(英文)