Decommissioning in Oil & Gas

石油・ガス下流部門の戦略 精製・石油化学

エネルギー業界の下流事業に携わる企業は、過去数十年で最大の課題に直面しています。メディアは不安定なエネルギー価格に注目しがちですが、下流部門の企業は他にも多くのリスクに晒されています。主なものとして、業界再構築の進行、規制緩和、企業再編・統合などが挙げられます。このような環境で競争力を維持するために必要なのは、オペレーションの効率性向上、コスト削減、収益とマージンの確保のための長期的戦略です。

精製業界における収益性の将来

石油・ガス精製業界の向こう数十年の展望を左右するのは、主に次の5つの要因です。

デジタルツールの導入とデジタル・ケイパビリティの構築。 石油精製業界におけるデジタル活用は、コスト削減、安全性向上、最適化の高速化を達成するうえで不可欠です。適用分野としては、生産プロセス最適化のためのAI活用、原材料管理の自動化、デジタル・アセット・マネジメントなどがあげられます。たとえば、ビッグデータと機械学習アルゴリズムを使ったメンテナンス周期の最適化や重大な機器の故障予測など、高度なメンテナンス・マネジメントを行うことで、アセットの信頼性を高めることができます。

また、バーチャルな形で複製を作り継続的に更新する「デジタル・ツイン」テクノロジーは、ライフサイクル・マネジメントの3つの主要フェーズすべてにおいて効率性向上の重要な戦略的ツールとなるでしょう。3つのフェーズとは、予算の見積もりとプロジェクトの計画を行う計画フェーズ、コンセプトから施設建設へと移行するプロジェクト開発フェーズ、そしてオーナーとオペレーターが最終アセットを手にし、ビジネス目標に向かって取り組むオペレーション・フェーズです。

オペレーションの卓越性の実現。今日、石油・ガス精製企業は、製品仕様および精製時の排出物に対する規制の強化に直面しています。規制の変化により、短期的リターンは得られない大規模な投資が必要になっています。そうした環境で成功するために精製企業は、オペレーションの効率・効果向上に注力する必要があり、オペレーションレベルの実績と経営陣の経済面のインセンティブとを結びつける意思決定サポートシステムの構築が有効です。

  • リアルタイムで経済的パフォーマンスを向上させるための、プラントにおける重点KPI体系
  • 最適化されたパフォーマンスと現実的な限界に基づく、プラント・オペレーションの高い目標
  • プラントの各ポイントのプロセスを十分理解できるようにするための、強力な予測アルゴリズム
  • 経済的観点を踏まえた、オペレーションの高度なコントロールによる自動化の推進
  • オペレーターの説明責任とエンゲージメントの強化を含む、チェンジマネジメント

プランニング&スケジューリング・プロセスにおけるアドバンスト・アナリティクスの活用。現在、精製所のスケジューリング・プロセスでは、スケジュール作成者の経験に基づくトライアル&エラー型のアプローチがとられています。しかし、複雑性が高まるなかで、機械学習によるロジックの高度化が必要になっています。これにより、標準化、最適化された30日間のスケジューリングが可能になり、また、オポチュニティ原油(低品位原油)の処理の可否についても迅速に反応できるようになります。主な利点として以下の点があげられます。

  • 経済性に基づくスケジューリングの最適化
  • 精製所オペレーションの安定性の向上
  • 予想外の事態に対する迅速な対応
  • マージンが大きいタイプの原油の処理数の上昇

メンテナンスのデジタル化。メンテナンス活動は、精製事業者のに大きな財務的インパクトを与えます(一般的にエネルギー以外のキャッシュコストの3分の1)。また、精製所の運転稼働時間と稼働率にも影響を及ぼします。ビッグデータや高度なアナリティクスを精製エコシステムに組み入れると、意思決定の最適化を図れると同時に、以下を実現することにより信頼性が高まります。

  • オペレーションに関するデータとスタティックデータに基づく予測メンテナンス
  • 接続されたプラントとメンテナンス人員のデジタル化
  • アセットの健全性システム

トレーディングとサプライチェーンの最適化。マルポール条約の導入により、2019年から2022年にかけて、市場破壊が起こるでしょう。この混乱のなかで利益を得るためには、精製事業者は様々なタイプの原油を処理できる柔軟性を備えるとともに、中流における正確な評価が必要になります。そのためには、精製と石油化学のオペレーション全体で、トレーディングとサプライチェーンのオペレーションを緊密に統合することが求められます。それによりシステムから最大の価値を引き出し、国際市場における短期的な変動性をうまく活用できるようになります。

石油化学サプライチェーンにおける破壊的変化と機会

  • サステナビリティ。サステナビリティに関する課題は世界の最優先事項であり、政府の規制や消費者の需要パターンに大きな影響を与えています。世界がますます「循環経済」に向けた動きを強めるなか、エンドユーザーと化学業界の企業は変革を推進しています。このような変化は、たとえば梱包などに大きな影響を与えるでしょう。企業は今、戦略的選択をすることで一歩先んじることができます。
  • デジタル化。大手化学企業はデジタル化を導入し始めていますが、業界全体では後れが見られ、デジタル・ディスラプションを積極的に活用する企業には大きな可能性があります。トランスフォーメーションのアプローチでは、3つの側面に注力する必要があります。第一に、デジタルにより事業の中核を変革すること。第二に、デジタルを通じてつくり出せる新商品・サービスを見出すこと。第三に、チームが長期にわたりデジタル戦略を効果的に実行できるよう組織能力を構築すること、です。
  • 地域戦略の変化。 中東の化学業界は高付加価値製品への移行を進めており、輸出への注力は以前より弱まっています。中国も化学業界の構造改革を進めており、高付加価値製品への注力、環境負荷の低減、効率性向上を目指しています。こうしたトレンドや関税の変更、NAFTAその他の貿易協定の変化は、バリューチェーン全体の商品の流れやプライシングに影響を与えるでしょう。
  • 新しい原料・生産方法。ポリマー3Dプリンティングは2035年には1,800憶ドル規模の産業にまで成長すると見込まれています。これにより、樹脂企業が原料サプライヤーや製造・設計のパートナーを検討するうえで、ビジネスモデルに関する課題と機会がもたらされています
  • オレフィン製造法の選択肢の変化。燃料環境が大きく変わったことで原料の経済性も変化し、メタン由来のオレフィン製造法の実行可能性が従来より高まっています。それにより、エチレンとエチレン誘導品の世界のサプライカーブや地域の活動が大きく変わる可能性があります。
  • 精製を取り巻く環境。マルポール条約におけるバンカー重油の規制は精製所の産出量に変化をもたらし、プロピレンの供給に影響を与える可能性があります。さらに、ガソリン需要の低下によりナフサが過剰になり、精製所の閉鎖に繋がる可能性もあります。(精製を取り巻く環境について詳しくは上記もご覧ください。)

BCGの石油・ガス下流部門エキスパート

BCGは過去5年間に世界各地の石油・ガス下流部門のクライアント200社以上と協働してきました。私たちは下流部門のすべての主要セグメントにおいて現場で実践的な支援を行っており、国際的成長戦略、コスト最適化、収益改善、組織およびチェンジ・マネジメントなどの領域で豊富な経験があります。

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