Global Payments 2019: Tapping into Pockets of Growth

世界の決済市場は着実に拡大、レベニュープール(市場規模)は2018年に約1.4兆ドル、2028年には2.5兆ドル規模へ ~BCG調査

新規参入プレイヤーが既存の決済事業者の収益源を侵食

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【参考資料】
 
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、本年9月にSWIFT(国際銀行間金融通信協会)との共同レポート、グローバルペイメント・レポートの2019年版「Global Payments 2019:Tapping into Pockets of Growth」(以下、レポート)を発表しました。BCGでは毎年世界の決済市場についての調査を行っており、今回が17回目の調査となります。この調査では、マクロ経済データや公表財務データ、SWIFTのデータなどをベースに、決済市場の動向について分析しています。

世界の決済市場は、個人向け決済、法人向け決済ともに着実に拡大

世界の決済市場のレベニュープール(市場規模)は2010年から2018 年までの期間、年平均成長率(CAGR)5.8%で成長し、2018年には約1.4兆ドルとなったと推計されます。キャッシュレス取引の着実な拡大などにより、市場は2019年から2028年にかけて年平均成長率5.9%で拡大し、2.5兆ドル規模に上るとみられます(図表1)。

2019年から2028年にかけての年平均成長率をビジネスライン別にみると、個人向け決済ビジネスが6.0%、法人向け決済ビジネスが5.6%と推計されます(図表2)。 BCGでは、今後5年間にわたり年平均11%で成長するとみられるeコマースなどのリモート決済が、個人向け決済の成長の主要なドライバーとなると見込んでいます。

決済市場は今後も着実に成長すると見込まれますが、新規参入プレイヤーが既存企業の収益源を侵食しつつあるため、既存企業が事業を拡大するには、将来重要となる領域を特定するとともに従来の優位性を活かせる領域を選択し、事業の拡大を追求する必要があります。

個人向け決済ビジネス: フィンテック企業のプレゼンス拡大により事業環境が激変

決済をめぐる市場の展望が世界中で激しく変化するなかで、既存の決済事業者が市場の成長を自社に取りこむには、現在の延長線上を超えた取り組みが必要だとレポートでは解説しています。決済市場の大きな変化は、一部には規制当局によるインターチェンジ・レート(加盟店からクレジットカード会社への支払い手数料)に対する規制によるところもあります。しかし、もっとも大きなインパクトを与えているのは、技術革新を加速し、小売企業の後押しとなるフィンテック企業の急速なプレゼンス拡大にあると考えられます。2020年代の個人向け決済ビジネスの市場構造を大きく変化させる主な要因として、レポートでは以下の3点を指摘しています。

  • 決済手段の変化: 決済手段と、それを実現するインフラにおける大規模なイノベーション。新たなリアルタイム決済サービスやP2P決済サービス(個人間送金)が世界中で数多く生まれている
  • 競争激化による統合や提携の進展により、業界やサービスの境界があいまいに:規模と重要な組織能力の獲得をめざして、カード等の発行体(イシュア)と加盟店契約会社(アクワイアラ)はパートナー企業を求めている
  • データ活用範囲の拡大:これまでは、データは主にリスク評価や不正防止に活用されてきたが、先進プレイヤーは既に顧客体験の向上のためにデータを活用するようになってきている

法人向け決済ビジネス: 既存企業は新規参入プレイヤーと同レベルの利便性提供が必要

法人向け決済の領域では、デジタルツールが着実に進歩するとともに、デジタル系の新規参入プレイヤーおよびフィンテック企業が急速に地歩を築きつつあり、今後も大きな変化が見込まれます。市場におけるもっとも重要なトレンドはリアルタイム決済に対応するためのシステム刷新、国境を越えた競争激化、企業とベンダー間の決済システムの接続や相互関係の強化などです。企業とベンダー間の関係強化については、企業の財務担当者が複雑さを敬遠してフィンテック企業などが提供するシンプルなプラットフォームに注目するケースがみられるなど、既に影響が出ています。企業との強いリレーションを維持するために、既存企業はそうした新規参入プレイヤーと同レベルの利便性を提供する必要があります。これにより、財務担当者は決済業務の整流化、キャッシュマネジメント、会計処理の見直しや調整、サプライチェーンファイナンス、クロスボーダー決済などの機能をより簡易に活用できるようになります。

法人向け決済ビジネスの急速なひろがりにより、この10年間で機能、競争、技術などさまざまな面で複雑さが高まっています。既存企業がこの領域で成長を実現するには、新規参入プレイヤーにならって複雑さを排除し、バリューチェーン全体でよりシンプルなソリューションを提供する必要があります。

■ 調査レポート
Global Payments 2019:Tapping into Pockets of Growth

■ 調査概要 
世界各国・各国際機関のマクロ経済データ、企業・金融機関の公表財務データをベースに、SWIFT(国際銀行間金融通信協会)との提携によりその独自データも活用し、世界58か国について、決済市場の市場規模やダイナミクスを分析するモデルであるグローバルペイメント・モデルを構築、エキスパートへのインタビューなどもふまえ、決済市場の現在と今後を展望する調査。

■ 日本における担当者
平野 聡久 マネージング・ディレクター & パートナー
東京大学法学部卒業、ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。日本銀行を経て現在に至る。BCGパリ・オフィス勤務の経験もある。BCG金融グループ、保険グループ、テクノロジーアドバンテッジグループのコアメンバー。 

■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年には大阪、京都にオフィスを設立しました。

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