2019 M&A Report: Downturns Are a Better Time for Deal Hunting

景気後退期のM&Aは好況期のM&Aより大きなリターンを実現~BCG調査

2018年の世界のM&A市場は依然堅調、だが下半期は取引総額・案件数ともに大幅に縮小

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(本資料はドイツで発表されたプレスリリースの抄訳です) 

ミュンヘン発、2019年9月25日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2019年版M&Aレポート “Downturns Are a Better Time for Deal Hunting”(以下、レポート)を発表しました。今回のレポートでは、景気後退期のM&Aと好況期のM&Aとの比較分析を行い、景気後退期にリスクを取ってM&Aに踏み出した企業はより大きなリターンを得ていることが確認されました。

2018年のM&A市場は2014年から続く好調を維持、だが下半期は取引総額、案件数とも大幅に縮小
2018年のM&A市場は、全体としては2014年から続く好調を維持しました。案件数は3%減少しましたが、取引総額ベースでは2017年比7%増加し約3兆ドルと2014年以降の平均値に近い規模にせまりました。しかし、取引価額100億ドル以上のメガディールが17件を数えた第1四半期(過去10年間の平均は1四半期につき6件)をピークに、年後半にかけて取引総額、案件数ともに大幅に縮小しています(図表1)。執筆チームはその理由として株式市場のボラティリティ上昇やバリュエーション低下、マクロ経済の不透明感などをあげています。

M&Aに対する投資家の支持は弱まりつつあります。レポートではM&Aの公表が株価に与える影響をはかる指標として、買収側企業のM&A公表日前後7日間の累積超過収益率(CAR)を分析していますが、この値は2018年、平均 -0.4%に落ち込みました。長期平均の -1.1%よりは高水準ではあるものの、この数値がマイナスに転じたことはM&Aを行う企業を好感してきた投資家の見方が反転したことを示します。「公開企業のM&Aで買収側のCARがマイナスとなったのは2011年以降はじめてです。ここ数年投資家はM&Aに対してポジティブな見方をしてきましたが、以前の状態に戻りつつあると考えられます」と、レポートの共著者であるBCGミュンヘン・オフィスのシニア・パートナーでM&Aトピックのグローバルリーダーを務めるJens Kengelbachはコメントしています。

景気後退期のM&Aはより大きなリターンを生む

景気後退への懸念が高まっていますが、M&Aを行おうとする企業は躊躇するべきではありません。今回の分析では、景気後退期のM&Aは好況期のM&Aに比べ、中期的に大きなリターンをあげていることが改めて確認できました。景気後退期のM&Aでは買収から1年後の買収側企業の相対TSR (注1)(株主総利回り)は、好況期のM&Aに比べ約7%ポイント高く、さらに2年後にはその差は9%ポイント以上に拡大していました(図表2)。

(注1) Relative Total Shareholder Return: 当該企業の属する業界のセクターインデックスと比較したTSR

さらに、景気後退期には大胆な行動が功を奏すことも注目すべきポイントです。景気後退期のM&Aを対象に、買収側企業の中核事業が属する業界内のM&Aと、それ以外の業界のノンコアセグメント企業のM&A案件を比較したところ、ノンコアセグメント企業のM&Aの1年後の相対TSRが3.9%ポイント上回るという結果となりました。レポートの共著者である、BCGケルン・オフィスのパートナー、Georg Keienburgは、「コアセグメント内の買収案件の方が、公表前後の株価に良い影響を与えることが多いです。しかし、中長期的には、中核事業の周辺を越えて魅力的な買収対象企業を獲得しようとする大胆なアクションがより大きな株主価値の創造につながります」とコメントしています。

調査レポート

2019 M&A Report: Downturns Are a Better Time for Deal Hunting

日本における担当者

加来 一郎 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレート・ファイナンス&ストラテジー・グループ、およびプリンシパルインベスター&プライベートエクイティ・グループの日本リーダー。 
慶應義塾大学経済学部卒業。住友商事株式会社、外資系コンサルティングファーム、PEファンドを経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津
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ボストン コンサルティング グループ(BCG)

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