日本におけるデジタルマーケティング成熟度は欧州企業に半歩後れ~BCG調査

データを活用したマーケティング実現のポイントは「経営トップのコミットメント」「アジャイルな組織」

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経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、Google マーケティング テクノロジー営業部と共同で欧州、アジア・パシフィック、南米の各地域で、合計200社以上の企業を対象にデジタルマーケティングの活用に関する調査を行ってきました。BCGではこの調査をもとにデジタルマーケティングにおけるベストプラクティスはどのようなものか、そしてそれを実現するにはどのようなロードマップが必要であり、どのような価値を生み出すことができるかについて研究をすすめています。今回、日本でデジタルマーケティングに取り組む34社の企業を対象に世界の他地域と同一の調査を実施し、以下の点が明らかになりました。

調査対象企業のデジタルマーケティング成熟度は欧州企業に半歩後れ

今回の一連の調査では、アンケート調査から明らかになった対象企業のデジタルマーケティングの活用レベルを「デジタルマーケティング成熟度」という形で定量化し、以下の4つの段階に分類しています。成熟曲線は上昇するにつれて険しくなり、次のレベルへ移行する難易度が増していくため、現状では最上位である第4段階に達している企業はグローバルで見ても非常に少数です。

  • 第1段階(Nascent) マーケティング・キャンペーン単位での取り組みが行われている。主に外部データを使用し、自社データはほとんど活用できていない。運用型広告もほとんど用いていない。売上と結び付けた取り組みになっていない。
  • 第2段階(Emerging) 自社データや自動入札をある程度活用しているが、マーケティング活動はチャネルごとの最適化にとどまっている。
  • 第3段階(Connected) オンライン・オフラインのデータが一部統合され、売上や利益の最大化に向けたチャネル横断のマーケティング活動ができるようになっている。
  • 第4段階(Multi-moment) あらゆる顧客接点を活用しながら、個々の顧客の生涯価値の向上を目指して、アジャイルなマーケティング活動ができている。

日本では、調査対象企業の73%が第2段階、24%が第3段階にあたり、欧州(同50%が第2段階、44%が第3段階)やアジア・パシフィック(同48%が第2段階、42%が第3段階)の調査対象企業にやや後れをとっています(図表1)。

購買行動全体にわたり様々なモーメントで消費者にパーソナライズされたコンテンツを提供できる第4段階、“Multi-moment”を実現するにあたっては、多くの企業がテクノロジー面および組織面の課題を感じています。日本では「複数の消費者接点にわたるデータの関連付けができていない」企業が91%にのぼったほか、「マーケティングプロセスの自動化がなされていない」企業が67%、「価値がどの消費者接点に由来するかを特定できていない」企業が78%、「機能横断の連携が適切に行えていない」企業が61%という結果となりました。

日本では「経営トップのコミットメント」「アジャイルな組織」がデジタルマーケティング高度化の重要なポイント

BCGでは、数々のブランドや企業を支援した経験から、第1段階から第4段階に至る道筋を通じて、最大で売上高の20%程度の増加、マーケティング費用の30%程度の効率化が可能だと推計しています。数々の課題を解決してこれを実現するために何が必要かを探るために、今回、日本の対象企業のデジタルマーケティング成熟度と特に相関が高い要素を特定する分析を行いました。その結果、経営トップが主導的な役割を果たしている、そして、アジャイルな組織である、という2つの要素が最も重要であることがわかりました(図表2)。

データを活用したマーケティングを高度化する上では、ビジネスの特性とテクノロジーの両面を理解した上で、成果を出すためには何から着手し、どのようにアジャイルなやり方を取り入れて取り組みを広げていくのか、その全体像を経営トップ主導で設計し、進めていく必要があります。一方で、ボトムアップのアプローチにより、数年間かけてデータ基盤を作り上げることから着手してしまうと、成果が目に見えるまでに時間がかかるばかりか、データを統合するという初期のプロセスだけでも長い時間を要することになります。

BCG東京オフィスのパートナー&マネージング・ディレクター、森田章は「多くの業界における市場成長が鈍化するなかでマーケティングを抜本的にデジタル化することは避けて通れません。それは従来の延長線上にはなく、多くの企業が今回の調査結果の第3段階から第4段階にある先進企業が通ってきた道に学ぶ必要があります」とコメントしています。

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■ 日本における担当者

森田 章 パートナー&マネージング・ディレクター
BCG消費財・流通・運輸グループの日本リーダー。BCGマーケティング・営業グループのコアメンバー。慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。IT関連企業の起業・経営、A.T.カーニーを経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津
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ボストン コンサルティング グループ(BCG)

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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年には大阪、京都にオフィスを設立しました。

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