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2020年末の世界の家計金融資産は過去最高の250兆ドルに、日本は18兆ドル~BCG調査

不動産等の非金融資産も過去最高の235兆ドル

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(本資料は米国で発表された報道資料の抄訳です)

ボストン発、2021年6月10日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2021年版グローバルウェルス・レポート「Global Wealth 2021: When Clients Take the Lead」(以下、レポート)を発表しました。

世界の家計金融資産は250兆ドル、日本の家計金融資産は18兆ドル

2020年の世界全体の家計金融資産は、21年間にわたるBCGの調査のなかで過去最高額となる250兆ドル(ドルベースで前年比8.3%増)となったと推計されます。長引くコロナ禍の影響で家計の貯蓄が増加したのに加え、株式市場が予想外に早い回復を示したことによるものです。日本の家計金融資産は18兆ドルとなりました。コロナ危機による経済的な影響はあるものの、世界の資産は成長を続け、今後5年間は新興市場の経済回復と軌を一にして大きく拡大していくとみています(図表)。

不動産等の非金融資産も過去最高額の235兆ドルに

これまでグローバルウェルス・レポートでは、家計金融資産の規模などの分析をまとめてきましたが、今回は資産をより広範に捉えるため、不動産等の非金融資産と負債規模についても推計しました。2020年は多くの人々がより高いリターンを求め、低利回りの債券からオルタナティブ投資に資産をシフトさせました。その一例として、不動産等の非金融資産は過去最高額の235兆ドルとなりました。しかし、非金融資産がもっとも集中しているアジア(日本を除く。84兆ドル、世界全体の64%を占める)では、今後、金融資産の成長率が非金融資産の成長率を上回ると予想しています。特に、投資信託は2025年までの年平均成長率(CAGR)の予想を11.6%としており、もっとも成長率の高い金融資産です。

シンプルな顧客体験を求める層と、退職者――業界にとって魅力的な市場

レポートでは、富裕層向け運用サービスを展開する企業にとって魅力的な2つの市場について解説しています。1つは、保有金融資産が10万ドルから300万ドル(約1,000万円から3億円)の層です。この層は全世界で3億3,100万人にのぼり、合計で59兆ドルの投資可能な資産を保有しており、この業界の企業に1,180億ドルの収益をもたらす可能性があります。彼らの中には、金融知識がやや乏しい、投資への意欲はあるものの時間を使うことができない、といった人々が含まれるため、シンプルで分かりやすい顧客体験を提供する必要があります。
2つ目は退職者です。65歳以上の層は現在29.3兆ドルの金融資産を所有しており、これは今後5年間、年率7%近く増加することが予想されています。2050年には世界で15億人が65歳以上となり、大きな収益プールとなります。

新しい世代の「超」富裕層に対応する必要

保有資産1億ドル超の「超」富裕層は拡大しており、6万人規模となっています。この層は現在、世界全体の15%にあたる22兆ドルの投資可能な資産を保有しています。特に中国は10年後までに「超」富裕層の資産がもっとも集中する国となる見込みで、2029年までに10.4兆ドルにのぼるとみられます。
この層の次世代にあたる20歳から50歳の人々は、投資期間が長く、リスクを許容し、自分の資産によって確実なリターンを得るだけでなく、社会に良い影響を与えたいと考える傾向にあります。業界の企業は、このような新しい世代に対応するための準備を進める必要があります。

レポートの共著者で、BCGチューリッヒ・オフィスのマネージング・ディレクター&パートナー、Anna Zakrzewskiは「業界の企業は、資産の成長の波に乗るために、どの層の顧客に向けても高度にパーソナライズされたサービスを提供する必要があります」とコメントしています。

■ 調査レポート

「Global Wealth 2021: When Clients Take the Lead」

BCGでは、家計金融資産の規模、富裕層人口などの分析をまとめたグローバルレポートを毎年発表してきました。21回目の調査となる今回は、資産をより広範に捉えるための新しい視点として、不動産等の非金融資産と、負債規模についても推計しています。今回、97の市場を対象に調査を行いました。

■ 日本における担当者

陳 昭蓉  マネージング・ディレクター & パートナー
BCG金融グループの日本リーダー。保険グループ、コーポレートファイナンス&ストラテジーグループ、マーケティング・営業グループ、およびオペレーショングループのコアメンバー。台湾師範大学数学学科卒業、東京工業大学経営工学専攻博士課程修了(Ph.D)。台湾松下電器、BCGプラハ・オフィスを経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。