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国際貿易

地政学的変化やテクノロジーの進化により国際貿易に構造改革が起きています。新しい環境での舵取りができる企業にとっては、リスクのみならず機会も生まれています。BCGの国際貿易領域のエキスパートは、企業が適切な打ち手をとり、リスクを軽減して、競争優位性を高められるよう支援します。

 

何十年にもわたり、企業は次のような一連の基本的前提に基づいてグローバル戦略を構築してきました。国際貿易と投資はさらに自由化され、世界のGDP成長を促進し続け、多国間の規則と制度により統治される。企業はコスト面の優位性を確保するために、低コスト国で製造し材料を調達するとともに事実上どの国の市場でも販売できるよう、大規模な海外展開をすべきだ、というものです。

しかし、全世界で見られる地政学的変化、創造的破壊をもたらすテクノロジー、コスト構造の変化が、国際的ビジネスの前提を覆しつつあります。急速な変化を続け、複雑性が高まる国際貿易環境には、大きなリスクが伴います。しかし同時に、そこでの舵取りのしかたを知り、アジャイル(俊敏)に適応できる企業にとっては、厖大な機会が生まれつつあります。


BCGは企業の貿易のニューノーマルへの適応をどのように支援しているか

企業や政府は「様子見のアプローチ」では競争で優位なポジションを占めることはできないでしょう。私たちは、国際貿易の環境が変化するなかで、クライアントがリスクを緩和し競争優位性を手に入れるための明確な積極的施策を特定し実行するお手伝いをします。

  1. 影響を評価する。貿易ルールの変更の自社への影響を評価するために企業がとるべき最初のステップは、自社の生産、供給、流通のフットプリントを精査し分析することです。バリューチェーン全体にわたり売上、コスト、生産資産に与える可能性がある影響を定量化します。
  2. ダイナミクスを理解する。通商政策の突然の変更は、企業により異なる形で影響を与え、競合環境全体を変化させる可能性があります。特定市場における各製品について、価格競争力や市場へのアクセスなど、新しい貿易ルールの戦略的影響を見きわめます。さらに、各競合企業とそのサプライヤーへの影響も評価し、相対的な影響度を理解して潜在的機会を特定します。
  3. 実施可能な手段を特定する。リスクを緩和し競争優位性を獲得するために、異なるシナリオのもとで、通商政策の変更に対応するために実行可能なあらゆるアクションを考案します。攻めと守りの両方のアクション、および、これらの手段を実行するタイミングを示唆するトリガーを特定します。
  4. レジリエンスを構築する。国際貿易ルールが突然変更された場合に選択肢と柔軟性があり迅速に動けるよう、新しいサプライヤーを事前選定するなど、わずかなコストでできる先制的な「後悔しない」打ち手を特定します。
  5. プレイブックを作成する。異なるシナリオのもとで取るべき一連のアクションを考案するとともに、特定の状況下でどの動きをとるかについて、必ずリーダーらが同じ方向に合致しているようにします。
  6. 政策を方向づける。競争優位性を創り出すため、政策が審議中でまだ時間があるうちに、それに影響を与えるよう努めます。

国際通商政策を変容させているトレンド

常に先を進むには、国際貿易を変容させているメガトレンドを理解することが重要です。以下の変化は、単に業界紙の見出しを賑わせているだけでなく、実際の企業経営に非常に大きな影響を与えています。

ある医療機器メーカーは、韓国政府が交渉を通じて米国政府から鉄鋼にかかる25%の関税免除を勝ち取った当初、安心しました。同社は、デバイスの1つに韓国製の特殊鋼を使っていました。ところが、サプライチェーンに著しい混乱が起きて、同社のサプライヤーが割り当てを受領していないことが判明したとき、すべてが変わりました。サプライヤーは、3カ月後に次の割り当てが付与されるまでは、いかなる価格であれ、この不可欠なコンポーネントを輸入できないことが明らかになったからです。

また、中国製品に対する米国の関税によって大手中国メーカーが打撃を受けたとき、トルコの白物家電大手は、米国で大きな市場機会を獲得できました。

こうした事例は、特定の国において、特定の政治リーダーが引き起こしたものであり、そのリーダーがいなくなると、この問題もなくなる、という主張もあるかもしれません。しかし、世界のさまざまな場所における、貿易をめぐる現在の政治的緊張は、今後も進展していく可能性があります。上述した4つのメガトレンドのために、国際貿易システムは、1990年代や2000年代に世界が見たような貿易の自由化や経済のグローバリゼーションという大きなトレンドには立ち戻らないでしょう。

国際貿易 最近の論考など

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自由貿易協定から最も恩恵を受ける国とは

BCGは100以上の国と主要な貿易圏の自由貿易協定を分析し、各国政府の貿易への関与度を複数の尺度で比較するツール「トレードエンゲージメント・インデックス」を開発しました。

国際貿易 エキスパート

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