AI Is Essential for Solving the Climate Crisis

世界の官民リーダーの87%が気候変動対策においてAIが重要なツールだと回答 ~BCG調査

官民のリーダーのうち、自組織の気候変動対策におけるAI活用に明確なビジョンを持っていると回答したのは世界では43%、日本では24%にとどまる

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【参考資料】

(本資料は、2022年7月7日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)

ボストン発、2022年7月7日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)およびBCG GAMMAは、AI for the Planetと共同でレポート「How AI Can Be a Powerful Tool in the Fight Against Climate Change」(以下、レポート)を発表しました。本レポートは、BCGのデジタル・アナリティクス領域を専門とする社内組織BCG GAMMA、BCGとBCG GAMMAがナレッジパートナーを務める、気候変動対策のためのAIソリューションを推進するアライアンス「AI for the Planet」が共同で実施した調査の結果をまとめたものです。

87%のリーダーがAIは気候変動対策において重要と認識

調査では、気候変動もしくはAI、またその両方の領域で意思決定権を持つ世界の企業や公共機関のリーダー1,000人以上から回答を得ました。そのうち、87%がAIを気候変動への効果的な対応において重要なツールだと考えていることが分かりました(図表1)。また、回答者全体の43%が、自組織の気候変動対策におけるAI活用について明確なビジョンを持っていることが分かりました。

国別に見ると、米国やスペインでは50%前後の回答者が自組織の気候変動対策へのAI活用に明確なビジョンを持っていると答えたのに対し、日本の回答者ではその割合が24%にとどまりました(図表2)。

調査では、回答者の多くが気候変動対策へのAI活用を想定する一方で、AIの広範な適用には乗り越えるべきハードルがあることも明らかになっています。回答者は「専門知識の不足(78%)」「AIソリューションを利用できる範囲が限られる(77%)」「AIによる出力データと分析への信頼性の不足(67%)」などを挙げています。

AIは排出量削減や気候変動への適応など多様な側面で適用可能

レポートでは、AIは気候変動対策の多様な側面で適用が可能で、大きな効果を発揮すると分析しています。

  • 気候変動の緩和策: AIを適用した様々な気候変動関連の取り組みのなかで、温室効果ガス(GHG)排出量の削減が組織にとっての最大のビジネスバリューであると考えている組織は60%以上にのぼる。BCGでは、AIの活用により、GHG排出量を2.6~5.3ギガトン(CO2換算、排出量全体の5~10%)削減できると試算
  • 気候変動への適応策とレジリエンス: 長期的な気候変動や異常気象の影響に対するレジリエンス(回復力)を高めるため、気候変動への適応策は政策立案者にとっても一般市民にとっても重要。AIを活用することで海面上昇などの局地現象の長期的な予測の精度を改善したり、ハリケーンや干ばつといった異常気象の早期警告システムを改良したりすることが可能
  • 気候変動対策を支え、拡大するための土台づくり: AIは気候変動に関する研究や教育活動を支え、ステークホルダーがリスクやその意味合いについて理解するのを助ける。また、一般の人々の学びや、行動変容の促進にもAIの活用が可能

BCGおよびBCG GAMMAカサブランカ・オフィスのマネージング・ディレクター&パートナーで、レポートの共著者であるHamid Maherは、次のように述べています。「ステークホルダーがGHG排出量を削減し気候リスクに対応するには、多くの情報に基づいたデータ・ドリブン型のアプローチが有用であり、大規模で複雑なデータセットを収集・構築して解釈するAIの能力は極めて効果的です。このように期待は高い一方で、既存のAI関連ソリューションの多くは散在しており、効率的なアクセスが困難であることに加えて、ソリューション開発を拡大するためのリソースも不足しています」

AIソリューションの拡大展開に向けた課題を乗り越えるためには、財政的支援や、政策立案者や企業リーダーへのアクセスなど、より有意義なサポートが必要です。AI for the Planetは、民間企業、公的機関、アカデミア、非営利組織とあらゆるセクターからソリューションを募集するとともに、選考の結果、表彰の対象となったソリューションへのサポートを予定しています。AI for the Planetによるサポートは、ニーズに合わせてカスタマイズされた財政的・技術的サポートから、投資家とのネットワーク構築まで、多岐にわたります。詳しくはこちらをご覧ください。

■ 調査レポート

How AI Can Be a Powerful Tool in the Fight Against Climate Change
ダイジェスト版はこちら「AI Is Essential for Solving the Climate Crisis

■ 日本における担当者

ロマン・ド・ロービエ マネージング・ディレクター & パートナー
BCG GAMMAのアジア・パシフィック地区リーダー、およびBCGジャパンのデジタル分野のリーダー。BCG産業財グループのグローバルリーダーシップチーム、およびコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。
パリ第9大学経済学部卒業。HEC経営大学院修了。米国の投資銀行、BCGパリ・オフィスを経て、2019年1月よりBCG東京オフィス勤務。

半谷 陽一 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG産業財・自動車グループ、コーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。脱炭素経済に関するエキスパート。
大阪大学工学部卒業。同大学大学院工学研究科修了。三菱重工業株式会社を経て現在に至る。

■ AI for the Planetについて

AI for the Planetは、Startup InsideがBCGとBCG GAMMAをナレッジパートナーとし、AI for Good Foundation、国連開発計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連情報通信技術局(OICT)と連携して創設したアライアンスです。
AI for the Planetは、独創的かつ学際的で、多様なコアリションであり、以下を目的としています。
1. アカデミア、スタートアップ、公共機関、民間企業のグローバルな専門家の支援を受け、気候変動問題へのアドバンスト・アナリティクスとAIの応用に関するイノベーションを促進する。
2. 気候危機への対応におけるAIの主要なツールやユースケースを特定し、優先順位を付けるグローバルプラットフォームとして機能する。
3. 特に「グローバルサウス」において、気候変動の緩和と適応、そしてレジリエンスに取り組むための最も有望なソリューションを特定、サポートし、そのソリューションが可視化され認知度が高まるようにする。
4. 資金や現場の実務者へのアクセス構築など、具体的かつ測定可能な行動を通じて、大規模なインパクトを確実にもたらす。
5. プロジェクトチームや投資家と、スタートアップや民間企業、公共機関などにおけるこの分野の専門家のネットワークの構築を促進する。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・福井・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。