Putting Micromobility at the Center of Urban Mobility - rectangle

マイクロモビリティの世界市場規模は1,000億ユーロ近くに到達。消費形態はサブスクリプションが急成長~BCG調査

都市とマイクロモビリティ事業者の協働による、統合型のサービス設計がカギ

印刷用のPDFはこちら

(本資料は米国で発表された報道資料の抄訳です)

ボストン発、2022年5月20日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、ザンクトガレン大学と共同で、マイクロモビリティ(自転車、電動自転車、電動キックボード、電動モペッド[注1])に対する消費者の利用動向を調査したレポート「Putting Micromobility at the Center of Urban Mobility」を発表しました。日本を含む世界10カ国23都市の消費者11,000人を対象に実施した調査結果から、利用に至る動機や、妨げとなる要因を分析しています。

世界市場規模はすでに1,000億ユーロ近くに到達、サブスクリプションが急成長

世界中の都市で自動車交通量の増加とその影響が問題となっているなか、マイクロモビリティは渋滞や大気汚染を軽減し、温室効果ガスの排出を削減する可能性を秘めています。パンデミックの期間、多くの人がマイクロモビリティを公共交通機関に代わるより安全な交通手段として考えるようになりました。また、燃料価格の高騰もその流れに拍車をかけています。所有、サブスクリプション、シェアリングの消費形態を含めたマイクロモビリティの世界市場規模は、すでに1,000億ユーロ近くに達しています(図表1)。
規模としては所有が最大であるものの、サブスクリプションが急成長しており、今後10年間のCAGR(年平均成長率)は30%を超えると予測しています。

利用の障壁は、専用道路網の整備や他交通機関との接続

マイクロモビリティの利用は急速に拡大しているものの、まだほとんどの都市で主流の交通手段になるまでには至っていません(図表2)。また、調査によれば、消費者のうち通勤にマイクロモビリティを利用しようと考えている人は5人に1人にすぎないことも分かっています。

調査では、マイクロモビリティを利用する人とあまり利用しない人に理由を聞き、上位6つを明らかにしました(図表3)。そこから、利用の動機や妨げとなっている要因を分析しています。

レポートの共著者であるBCGミュンヘン・オフィスのマネージング・ディレクター & シニア・パートナー、Nikolaus Langは「天候をのぞいて、マイクロモビリティの利用拡大を阻んでいる最大の障壁は、コストや自転車専用道路網の整備状況、他交通機関への接続が不十分であることや、郊外でのサービスが限られていることです。こうした障壁に迅速かつうまく取り組んだ都市では、通勤者にとってマイクロモビリティがより魅力的な手段として映ります。その結果、企業やその社員にとってもより魅力的な場所になるでしょう」とコメントしています。

今回の調査では、マイクロモビリティと公共交通機関を組み合わせたサービスを提供することで、利用者が大幅に増加する可能性があることが明らかになりました。レポートでは、消費者は公共交通機関のチケットにマイクロモビリティの利用を含むなど、セットで販売するサービスに対して22~25%の追加料金を支払うと分析しています。著者らはこれらを踏まえ、デジタルプラットフォームの構築など都市とマイクロモビリティ事業者が協働した統合型のサービスがカギになると指摘しています。

(注1)ペダルの有無にかかわらず、小型のオートバイ(電動)を指す

■ 調査レポート

Putting Micromobility at the Center of Urban Mobility

■ 日本における担当者

滝澤 琢 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG産業財・自動車グループ、マーケティング・営業・プライシンググループ、グローバル化戦略グループのコアメンバー。
東京大学法学部卒業。トヨタ自動車株式会社を経て現在に至る。

ザンクトガレン大学について

ザンクトガレン大学(HSG)はスイスにある、ビジネス・経営学において欧州有数の大学、ビジネススクールの一つです。1898年の創立以来、HSGは国際性、実用性の高さ、統合的な視点において特色ある教育を提供してきました。現在は、経営学、経済学、法学、社会科学、国際問題、コンピューターサイエンスの分野で、約90カ国から9,000人以上の学生を受け入れています。HSGの最高レベルの統合的教育は、EQUIS、AACSB、AMBAから国際的な認証を受けています。
モビリティ研究所はザンクトガレン大学に40ある研究所・センターの一つで、深い科学的専門知識に基づき、モビリティの将来とその基盤となるビジネスモデルを経済的観点から調査しています。この研究所では、モビリティの利用者に焦点を当てた行動志向のアプローチをとっています。科学的な洞察を実践に移し、産業や政治へとつなげることを重視しています。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・福井・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com