7割超の消費者が値上げを実感。物価上昇に伴い、消費行動を変化させる人の割合が増加~BCG消費者心理調査

過半数の消費者が、状況に応じた価格の変化を許容できると感じている

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経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、日本全国の18歳以上の消費者8,000人以上を対象に、2023年10月、「BCG消費者心理調査」を実施しました。本調査は、2020年より日本を含む全世界で実施してきた新型コロナウイルス感染症拡大による消費者意識の変化に関する調査「BCG COVID-19 消費者心理調査」(全9回)の内容を引き継ぐものです。2023年に新型コロナが5類に移行したことを受け、今回は物価上昇に伴う消費者行動の変容などを中心に分析します。

アパレル・ファッション、住宅関連のカテゴリーで、消費行動を変えた人の割合が顕著に増加

住宅関連、食料・飲料、旅行・移動、エンタメ等、ほとんどのカテゴリーについて、7割超の消費者が「直近で価格が上がったと感じる」と答えています。前回調査(2022年実施)では、多くの消費者が値上げを実感しながらも行動変容は限定的でしたが、今回は半数程度が、より低価格の商品に切り替えるなど「消費行動を変えた」と回答しています。この割合は、特にアパレル・ファッション、住宅関連のカテゴリーで顕著な増加が見られました(図表1)。

消費者の8割が、物価上昇に比べて給与水準が上がっていないと感じている

調査では、物価上昇と給与水準、世帯年収ごとの収入の変化についても分析しました。3割超の人は賃上げを実感しているものの、給与水準が物価上昇に比べて上がっていないと考えている人が約8割を占めています(図表2)。賃上げが生活の実情になかなか追いついてこない日本の現状がうかがえます。また、2022年以前と比較した収入の変化を世帯年収ごとに尋ねたところ、世帯収入が低い層では収入の減少が目立ち、高年収層ほど収入が増加した人の割合が高いという、二極化の進行が見られました。

条件やコストに応じた価格の変化を許容する人の割合は高まっている

値付けに対する受け止め方についても調査しました。「シニア割引」「曜日によって価格が異なる」「同じブランドの同じ商品でも、かかる輸送費/人件費によって価格が違う」といった状況を、過半数の消費者が受け入れられると感じています(図表3)。この結果を踏まえ、企業は一律の値上げ・価格設定だけでなく、地域や条件に応じた最適な値付けや、顧客のロイヤリティや購買履歴に応じたポイントの付与、値引きクーポンの発行などで実質的な値段を変える施策を検討する必要があると考えられます。

調査を担当したBCGのマネージング・ディレクター&パートナー、紀平 啓子は「プライシングは国内外の多くの企業で、戦略上の重要課題となっています。特に日本では、物価上昇に賃上げが追いついていない実感が強まり、価格に対する消費者の価値観まで変わってきていると感じています。これまでは一物一価を是としてきた日本企業でも、より複雑で、消費者にとって合理的な価格のあり方を検討する必要が出てくるでしょう。価格設定・コスト削減・賃上げの新たなバランスを見つけることが求められています」とコメントしています。

■ 調査資料

BCG消費者心理調査――物価上昇の影響を読み解く

■ 調査概要

全国の18歳以上の男女を対象にオンラインで実施

  • 実施時期: 2023年10月27~30日
  • 回答者数: 8,373人

■ 関連調査資料

新型コロナウイルスに関する消費者心理調査の関連プレスリリース、論考等

■ 担当者

紀平 啓子 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG消費財・流通グループ、およびマーケティング・営業・プライシンググループのコアメンバー。
早稲田大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科修了。テレビ東京ブロードバンド株式会社、グリー株式会社を経て現在に至る。

阿川 大 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGマーケティング・営業・プライシンググループの日本共同リーダー。消費財・流通グループ、および組織・人材グループのコアメンバー。
京都大学法学部卒業。イエール大学国際関係論修士、および経営学修士(MBA)。日興シティグループ証券株式会社、BCGニューヨーク・オフィスを経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 井上・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。