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気候変動への適応とレジリエンス

 

気候変動に対する「緩和策」と「適応策」

持続可能な世界をめざすためには、気候変動に「緩和策」と「適応策」の両輪で取り組む必要があります。温室効果ガス排出量の削減・吸収に取り組む緩和策に対し、適応策は、緩和策を講じても避けられない気候変動の影響に、治水対策や感染症対策、生態系の保全などによって対応できる地域社会をつくりだすアプローチです。

パリ協定で努力目標とされている、気温上昇を1.5度に抑えるシナリオでも、大きな環境変化が予想されます。たとえば、毎年3,000万人が洪水に見舞われると予測されています。

アフリカにおける気候変動

気候変動は地球規模の問題ですが、その影響の受け方は世界の各地域で異なり、なかでもアフリカ諸国は特に大きな課題に直面しています。しかし同時に、気温上昇への適応、低炭素経済の構築、地域のグリーン雇用創出のためのグローバルな投資を組み合わせることで、持続可能な低炭素経済を実現する機会を得られると考えられます。

  1. 適応策に大規模な投資を行う。アフリカ諸国は、気候変動へのレジリエンス(強靭性、回復力)を構築するために大規模な資金を動員しなければなりません。そのためには、国際社会との連携と、国際社会からの資金援助が不可欠です。
  2. 低炭素経済発展のための基盤を構築する。新しい技術やビジネスモデルを活用することで、アフリカ諸国は、地域の状況に合わせた低炭素型の開発の道筋を描くことができます。
  3. 現地でのグリーンマニュファクチャリング能力の構築を加速する。アフリカ諸国は、天然資源と地域の力を活用して、再生可能エネルギー、炭素隔離、気候変動に強い食料システムなどの分野で、地域に根ざしたグリーンマニュファクチャリングのハブを構築する必要があります。そうすることで、何百万人もの雇用を創出し、アフリカの産業発展の先陣を切ることができます。

(詳細は論考「アフリカをレジリエント、低炭素、雇用機会豊富な大陸に(英文)」をご参照ください)

「適応策」推進に向けた官民連携

適応策による短期的な好影響は特定の国や地域にもたらされるものであるため、グローバルでの推進体制がつくりづらく、緩和策と比較すると投資の規模は限られています。必要な適応策を大規模に推進するために、官民が連携して取り組む必要があります。

企業のレジリエンス構築

個々の企業としても、排出量削減をめざすだけでなく、回避できない気候変動の影響に適応し、レジリエンスを高めることが重要です。気候変動がもたらす物理的リスクが事業活動やサプライチェーンに与える影響を正しく把握し、生産・調達機能や資源、従業員を守るために必要な適応策を講じるとともに、事業ポートフォリオを再編し、新たなビジネス機会をうかがう必要があります。

企業は、気候変動が事業環境をどのように変化させるかを理解するとともに、自社の強みと組織能力を活かし、気候変動が引き起こす被害からのレジリエンスを構築する取り組みを進めていくべきです。

このトピックに関するBCGの論考など

Building a Climate-Resilient, Low-Carbon, Job-Rich Africa - rectangle

アフリカをレジリエント、低炭素、雇用機会豊富な大陸に

気候変動はアフリカ大陸の大きな脅威となっています。国際社会がアフリカ諸国と協働し、大規模な投資や先進技術の活用により、低炭素型の社会経済開発の基盤を構築することで、アフリカはレジリエントな社会を構築できるだけでなく、グリーンエネルギーの産出地として発展する可能性があります。(英文)

このトピックのエキスパート

 
気候変動への適応とレジリエンス

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