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食料システムの変革

 

食料システムの危機

食料システムはいま、食品ロス、生物多様性の喪失、森林破壊、水資源の枯渇、土壌の劣化など、さまざまな問題を抱えています。毎年、世界で生産される食品の総量の3分の1にあたる16億トン(約1.2兆ドル相当)の食料が廃棄される一方で、世界の約8億7,000万人が栄養不足に陥っています。また、生物多様性は急速に失われつつあり、世界経済に年間5兆ドル以上の損失を引き起こしています。世界の森林の推定価値は150兆ドルにものぼり、世界の株式価値のほぼ2倍ですが、対策をとらなければこの価値は2050年までに約30%減少するとBCGでは予測しています。

企業の取り組み

さまざまな問題を解決しながら、世界の人々にとって十分な量の食料を生産するにあたり、フードチェーン全体のステークホルダーそれぞれに責任があります。たとえば、食品企業や小売企業は、作物の輸送や加工のプロセスを変更したり、販売方法を工夫したり、売れ残った食品を寄付したりすることで食品ロスを減らす必要があります。消費者向けビジネスに関わる企業は、価格設定やプロモーションを通じて持続可能な方法で生産された商品の販売を促進したり、サプライチェーンや販売する商品の出所について透明性を高めたり、消費者にサステナビリティへの取り組みを促したりすることができます。

また、持続可能な食料システムの構築には、再生農業が欠かせません。現在の農業システムは、「単一栽培や集約的な農法による、種や遺伝子の侵食」「農地の拡大や汚染による生物の生息地の喪失」「炭素隔離、土壌の浸食防止、害虫駆除などの生態系機能の低下」といった課題を抱えています。企業は、土壌や生態系を改善しながら食料を生産する再生農業の促進とあわせ、自然を回復させるための投資や、生物多様性に貢献するために原料や素材の多様性を向上させること、消費者の意識を高めることなどに取り組む必要があります。

食料システムのダイナミックな変化

食料システムは、デジタルテクノロジーの進化やビジネスモデル変革、国際機関等とのエコシステム形成などにより、大きくつくり替えられようとしています。そのなかで、持続可能な食料システムにおけるバリューチェーンの一翼を担う企業は、社会課題の解決に貢献できるだけでなく、コスト削減、新規市場の開拓、新たな収益機会の獲得など、ビジネス上の具体的な利益が得られます。

たとえばポルトガル大手小売のソナエは、サプライチェーンの規模を活かし、フードロスを削減しています。農家やサプライヤーの経済性が向上することによって、ソナエにとっても調達価格が安定化するというメリットがあります。

(詳細は論考「16億トンの食品ロスを克服する」「食品ロスを削減するためのレシピ」(いずれも英文)をご参照ください)

このトピックに関するBCGの論考など

The True Value of Food

食料の真の価値――企業の変革の意思決定を助けるために

食料システムをより良いものに変えるためには、どのようにビジネスを進化させる必要があるでしょうか。BCGとWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は、食品が農場から食卓に届けられるまでに、自然や社会、経済に与える影響を明らかにしました。(英文)

セオリー・オブ・チェンジ

BCGは、パートナー組織と協働し、系統的アプローチにより農業のトランスフォーメーションやプラスチックリサイクルの促進を支援しています。取り組みの一部をご紹介します。

Close-up of a chicken sandwich and French fries on a plate

代替たんぱく質の可能性

動物性たんぱく質から、植物性、微生物由来、そして動物細胞の培養による代替たんぱく質へのシフトが始まり、勢いを増しています。2035年には市場規模が2,900億ドルに達する見込みです。(英文)

このトピックのエキスパート

 
食料システムの変革

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