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温室効果ガス排出量の全体(スコープ1・2・3)を測定している企業はわずか10%にとどまる ~BCG調査

2021年の前回調査は9%、正確な測定にはAIなどデジタル技術の活用がカギ

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【参考資料】

(本資料は、2022年10月20日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)

ボストン発、2022年10月20日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、企業や組織の温室効果ガス(GHG)排出量の測定・削減に関する調査「2022 CO2 AI by BCG Carbon Emissions Survey」を発表しました。世界18カ国、14の産業にわたり、従業員1,000人以上、売上高1億~100億ドル超の約1,600組織を対象に実施し、排出量の測定・削減の現状を分析しています。調査対象組織の排出量を合計すると、世界の排出量の40%以上に相当します。

排出量測定・削減の取り組みは世界全体で遅れ 測定において25~30%の誤差を想定

世界における排出量測定・削減の取り組みは、産業や地域を問わず全体的に遅れています。2021年に実施した初調査では、スコープ1・2・3の排出量全体を網羅的に測定している企業は9%だったのに続き、今回の調査でもわずか10%にとどまりました(図表1)。また、調査に回答した組織は、排出量測定において平均25~30%の誤差を想定していることも分かりました。

回答した組織の70%以上が、排出量削減により年間100万ドル以上の経済的利益を見込む

今回の調査では、排出量測定の正確性が担保されるほど、効果的な削減が可能になることが確認されました。排出量全体(スコープ1・2・3)を網羅的に測定していると回答した組織の64%、スコープ1~3までを部分的に測定していると回答した組織の45%が、排出量を大幅に削減できていると答えています。また、調査に回答した組織の70%以上が、排出量削減により年間100万ドル以上の経済的利益を見込んでおり、うち37%は1億ドル以上を見込むと答えています。排出量削減により生じる他のプラス要素としては、54%が組織のレピュテーション向上、37%が優秀な人材の確保を挙げており、多くの利点があることが報告されています(図表2)。

排出量全体の測定・削減にはCO2 AIなどデジタルソリューションの導入が必要

調査に回答した組織は、排出量測定・削減を促進するためには、リーダー層からのサポート、よく練られた政策的インセンティブ(規制、税制優遇など)や、デジタルによるソリューションの導入が必要だと考えています。特にデジタル面について、CO2 AI (注1)など排出量測定を自動化したソリューションを導入している組織は、排出量を網羅的に測定できる可能性が2.2倍、野心的な排出削減目標を実現できる可能性が1.9倍高いという結果が出ています。

BCGの気候変動・サステナビリティグループのグローバルリーダー、Hubertus Meineckeは「今回の調査結果は、排出量の測定と削減の両面で進捗を加速させる時期が来たことを明確に物語っています。どの組織も、網羅的かつ正確な測定を実現するために、利用できるデジタルツールやAIツールの導入を検討する必要があります」とコメントしています。

(注1)CO2 AI by BCG: AIを活用してスコープ1~3のCO2 排出量を正確に把握するBCGのデジタルソリューション

■ 調査レポート

2022 CO2 AI by BCG Carbon Emissions Survey

■ 日本における担当者

丹羽 恵久 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGパブリックセクターグループ、気候変動・サステナビリティグループの日本リーダー。BCGハイテク・メディア・通信グループ、社会貢献グループ、および組織・人材グループのコアメンバー。
慶應義塾大学経済学部卒業。国際協力銀行、欧州系コンサルティングファームを経て現在に至る。

渡辺 英徳 パートナー & アソシエイト・ディレクター
BCGテクノロジーアドバンテッジグループ、エネルギーグループ、および産業財・自動車グループのコアメンバー。
東京大学理学部卒業、同大学大学院理学系研究科物理学専攻理学博士。慶應義塾大学理工学研究科で特別研究助教として勤務した後、グローバルコンサルティングファームを経て現在に至る。

■ CO2 AI by BCGについて

BCGが開発したCO2 AIは、企業がエンドツーエンドで組織をネットゼロへと導くことを可能にします。AIの活用により、あらゆる業界の企業が現在の排出量を定量化し、大規模に削減するための解決策を見つけることができるソリューションです。水使用量、廃棄物、大気汚染など企業のバリューチェーン全体における排出量を、網羅的に、正確に、かつ高頻度で定量化し、スコープ1・2・3の環境フットプリントを削減するために、透明性ある実行可能な方策をご提案します。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 井上・福井・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。