デジタルトランスフォーメーション(DX)に成功している日本企業は14%
DXのサイロ化を超えた包括的な戦略が成功のカギ~BCG調査

テクノロジーや人材への思い切った投資が必要

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2020年10月28日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2020年4月から6月にかけて世界11カ国で実施した、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査結果の日本版を発表しました。本調査では、従業員1,000人以上の大企業約850社(うち日本の企業は79社)のCEOや取締役、CDO/CIO、および役員職へのアンケートを通じ、DXのトレンドやDXを成功に導くカギを探りました。

コロナ危機の影響により、DX実施の緊急性が高まる

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、DXの重要性は増しています。調査対象国全体で「DXの緊急性が高まっている」と答えた企業は8割以上、「DXへの投資が増えると思う」と答えた企業は約6割に上りました。一方で、各国の回答者の約7割が、デジタルテクノロジーを、既存のビジネスモデルの効率を上げる付加的な要素だと考えており、「既存のビジネスの手法や業界のあり方に破壊的な影響をもたらす」、「これからのビジネスの核となる」と認識する企業は約3割にとどまりました。

DXに成功している日本企業はわずか14%、AIやデジタルハブに注力している割合が低い

DXに成功している(注1)日本企業は14%と、調査対象国全体(30%)の半分以下でした。また、日本の調査対象企業は、各国平均に比べ、AIの利活用拡大やデジタルハブの設置に注力している企業の割合が低いことが分かりました(図表1)。

(注1:)自社のDXに関し「目標が期限内に達成されたかどうか」、「求めていたものと比較して成功したかどうか」、「他のトランスフォーメーションと比較して成功したかどうか」といった複数の質問に対する回答を0~10でスコア化。スコアが8以上であり、かつプロジェクトが70%以上完了したものを成功と定義した。詳しくは資料「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査」をご参照ください。

日本企業のDXは特定の部門がリードする割合が比較的高く、サイロ化するリスクも

DXの主なスポンサー(推進組織のトップ)についてたずねたところ、日本では特定の事業部門のトップと答えた企業の割合が15%と調査対象国全体(3%)に比べて高く、DXの推進がサイロ化され、経営課題が解決できない、あるいは全社的なビジネス戦略との整合性が取れないといったリスクが高いことを示唆しています。CEO直属の組織と答えた企業の割合も30%と、調査対象国全体(62%)を大幅に下回りました。

DXの成否を分けるカギは、包括的な戦略の有無、テクノロジーへの投資額の大きさ

DXを成功に導くカギとして、包括的な戦略の有無や、人材やテクノロジーへの投資額の大きさが挙げられます。DXに成功した日本企業(14%)のうち「ビジョンや優先順位付け、技術と人材、ロードマップ計画を含む包括的な戦略を構築している」と回答した企業は82%に上り、失敗した企業の割合8%と大きな差が出ました。また、成功した企業の「大胆な攻めの戦略を追求している」との回答は64%である一方、失敗した企業の回答は21%でした(図表2)。

さらに、DXに失敗した日本企業のうち、「テクノロジープラットフォームの更新に十分な予算を配分していなかった」と振り返った割合は63%にのぼりました。

日本では「リーダー層がアジャイルの考え方へと意識を変えている」との回答が少ない

「アジャイル(機敏)な進め方」もDXの重要な要素ですが、日本の調査対象企業においては、「リーダー層がアジャイルの考え方へと意識を変えている」との回答がわずか27%であり、回答を得られた10カ国のうち下から2番目の低さです。

BCGのデジタルアナリティクス組織GAMMAの北東アジア地区リーダーで、日本の調査を担当したマネージング・ディレクター&パートナーのロマン・ド・ロービエは「企業がDXを成功に導くためには、明確なビジョンと包括的な戦略、それを進めるにあたってのトップのコミットメント、そして実現に必要な組織能力とテクノロジープラットフォームの構築を、攻めの姿勢で大胆に進めていくことが必要です」と述べています。

■ 調査概要

資料:「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査」

実施時期: 2020 年4月~6月

回答数: 850社(オーストラリア、中国、インド、日本、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダ、米国、ブラジル) 日本での調査:79社

従業員1,000人以上の大企業のCEOやCDO/CIO、取締役などに、DXのトレンド、自社のDXの成否、DXを実行する体制・進め方などについて聞いた。

■ BCG Digital Strategy Roadmap (DSR)について

今回の調査結果に見られるように、DXが業務部門ごとの判断で実施されサイロ化することで経営課題の解決につながらない、あるいは全社横断でのビジネス戦略との整合性が取れないといった課題を乗り越えるために、BCGではDigital Strategy Roadmap (DSR) の策定を提案しています。達成すべきビジョンに向けた包括的な戦略を立案し、ロードマップに沿って施策を実施、さらにそれをモニタリングしていくことで、ビジョンの実現をより確実にし、想定以上の価値創出を可能にすることを目的としています。

■ 日本における担当者

ロマン・ド・ロービエ (Romain de Laubier) マネージング・ディレクター & パートナー
BCGのデジタルアナリティクス組織 GAMMAの北東アジア地区リーダー。産業財グループのグローバルリーダーシップチーム、およびコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。
パリ第9大学経済学部卒業。HEC経営大学院修了。米国の投資銀行、BCGパリ・オフィスでの勤務を経て、2019年1月よりBCG東京オフィス勤務。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井

Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日、BCGの支援領域は、変革の推進、組織力の向上、競争優位性構築、収益改善をはじめとしてクライアントのトランスフォーメーション全般に広がっています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と企業変革を促進する洞察を有します。これらに加え、テクノロジー、デジタルベンチャー、パーパスなどの各領域の専門組織も活用し、クライアントの経営課題に対しソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じてクライアント組織に大きなインパクトを生み出しています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年には大阪、京都にオフィスを設立しました。

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