一方で市場依存の成長構造が浮き彫りに、新商品開発など変革が急務
【参考資料】
(本資料は、2025年4月29日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)
ボストン発、2025年4月29日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、グローバルアセットマネジメント・レポートの2025年版「 From Recovery to Reinvention 」(以下、レポート)を発表しました。BCGは資産運用市場と運用会社の動向についてまとめたレポートを毎年発行しており、今回で23回目になります。
2024年末の世界の運用資産残高は前年比12%増、ただし収益の70%は市場パフォーマンス由来
2024年末の世界の運用資産残高は128兆ドルと推計されます(図表)。2023年(115兆ドル)から12%増となり、過去最高額を記録しました。日本における運用資産残高も12%増、5.9兆ドルでした。世界全体の新規流入資金は、年初の運用資産残高の3.7%と推計されます。
運用資産残高が大幅に伸びた一方、2024年における業界全体の収益成長580億ドルのうち、70%以上が投資家からの資金流入ではなく市場パフォーマンスによってもたらされたことがわかっています。これは外部環境に対する業界の脆弱性を示しており、継続的な手数料圧縮、投資家のニーズの変化、そしてデジタルによる業界構造の変革が進む中、運用会社にはビジネスモデルの再設計、コストイノベーションの加速、戦略的焦点の明確化が求められています。
投資家のニーズ変化に対応した新商品開発にチャンス
金融商品やその販売チャネルが変化を続ける中で、今後運用会社が成功するためのチャンスは、大きく2つあります。
- 縮小傾向にあるものの依然として重要なアクティブ運用資産の市場におけるシェアの拡大。具体的には、アクティブ型ETF(上場投資信託)、モデルポートフォリオ(特定の投資戦略に基づいてあらかじめ設計された資産配分のひな型)、個別運用口座といった分野が鍵となる
- 個人投資家へのプライベートアセット(未公開資産)販売市場が成長を続ける中、この領域で主導的な立場を確立する
また、資産運用業界の市場構造は、運用資産や提供サービスの拡大、テクノロジー能力の構築を目的とした戦略的パートナーシップやM&Aによって変革されつつあります。BCGが運用会社270社を対象に調査した結果、平均的な運用会社の運用資産残高は2013年から2023年にかけて2倍となりました。
大規模な運用資産を持つ企業は、スケールメリットを生かし、テクノロジー活用の相乗効果や業務効率化、プロセス改善を通じてコストを削減することが可能です。一方、運用資産が3,000億ドル未満の企業は、よりスリムで機動的なビジネスモデルの構築が求められます。
生成AIによる業務効率化も加速、フロントからミドル・バックオフィスまで導入
運用会社が業務の効率化、意思決定の高度化、顧客エンゲージメントの強化に注力する中で、AIはそれらを加速させる重要な推進力となっています。特に生成AIは、プロセスを自動化し、商品提供の在り方を大きく変革しており、流動性の低い資産やオルタナティブ資産といった複雑な分野での活用が進んでいます。現在、フロント業務からミドル・バックオフィスまで、全領域で導入が進められています。
レポートの共著者であり、BCGマネージング・ディレクター&パートナーの ディーン・フランクル は次のように述べています。「今後10年間で勝者となるのは、単に荒波を乗り越えられる企業ではなく、自らの進むべき方向性を再定義できる企業です。昨今の市場の不安定性は、変革のチャンスになり得ます。資産運用業界は“回復モード”から“イノベーションモード”へと転換し、価値の提供方法、顧客との関係構築、そして事業運営の在り方を抜本的に見直す必要があります」
■ 調査レポート
「 Global Asset Management 2025 – From Recovery to Reinvention 」
■ 日本における担当者
栗原 勝芳
マネージング・ディレクター & パートナー
BCG保険グループの日本共同リーダー。金融グループ、コーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。株式会社大和証券グループ本社、外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。
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