電力会社における分散型電源の課題
分散型電源市場の拡大に伴い、電力会社は様々な課題に対する備えが必要になります。
分散型電源と送電網の統合。次世代送電網にアップグレードしなければ、統合は複雑になります。さらに電力会社は、天候や顧客行動の変化により制御や予測が難しいタイプの電源の管理も考慮する必要があります。
利益率の低下。分散型電源を使い自家発電する顧客は電力会社から購入する電力が少なくなります。少ない販売キロワット時間に固定費を割り当てることになるため電気料金全体が値上がりし、分散型電源の導入がさらに進むという循環になります。
規制変更。規制当局は、電力会社が分散型電源により良いサービスを提供するよう圧力をかけています。それにより、サードパーティが多くの発電設備を統合することが可能になり、従来の料金ベースモデルが大きく変化しつつあります。
変化する顧客の期待。分散型電源市場の拡大に伴い、多くの顧客が、自分たちの発電設備がより良い形で送電網に統合され、電力会社がエネルギーサービスを提供することを期待するようになっています。
分散型電源が電力会社にもたらす機会
分散型電源市場は多くの課題を生んでいますが、電力会社にとってははビジネスモデルを変え持続的成長を確保するための大きな機会ともなります。
変革への参画。電力会社は、エネルギー効率関連、コミュニティ・ソーラー、屋上太陽光発電技術、電気自動車関連技術など、最新テクノロジーやプログラムの提供を積極的に進めていく必要があります。
送電網の重要性を高める。電力会社は分散型電源を送電網に統合し、分散型電源を保有する顧客に付加価値の高いサービスを提供して対価を得るやり方を模索しなければなりません。つまり、分散型電源を活用できるようにすることで、全体として送電網の価値を高めるのです。
テクノロジーと分散型電源の将来
分散型電源のバリューチェーン全体の中でデジタルが果たす役割はますます大きくなっています。電力会社は、進化する分散型電源市場を取り込むことを最も重視すべきです。
ピア・ツー・ピアのソリューション、ブロックチェーン、複数の分散型電源の統合、先進的プライシングと送電網との連携、電気自動車市場の成長などを含むテクノロジーの進化は、今後も引き続き分散型電源の将来および電力会社が担う役割を変化させていくでしょう。たとえば平均的な電気自動車の場合、送電網の更新には約1,100ドル必要になります。
競争力のある電力小売と分散型電源の設置業者はデジタルマーケティングと顧客のマイクロターゲティングにより、さらに多くの顧客を獲得できます。バーチャルなマッピングとデザインやAI(人工知能)による作業員の労務調整などを通して分散型電源設備の設置に関わる効率性を改善できます。また、顧客が自分でシステムをコントロールできるような顧客向けのモバイルアプリの開発、送電網のモニターなど、デジタルが分散型電源の運用と管理における機会を生むことは明らかです。